基本情報
項目 | 内容 |
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選手名(英語名) | ジャマル・ムシアラ(Jamal Musiala) |
生年月日/年齢 | 2003年2月26日(22歳 ※2025年現在) |
身長 | 184cm |
国籍 | ドイツ(※英独二重国籍の表記あり) |
ポジション | 攻撃的MF/ウイング(左を好む) |
所属クラブ(国名) | バイエルン・ミュンヘン(ドイツ) |
市場価値 | 140.0m € ※2025/06/05時点 |
契約 | 2030年6月30日まで延長(2025年2月発表) ※解除条項は報道ベース |
総論:なぜムシアラは“密集を解く”
ムシアラ(ジャマルムシアラ)は、狭い局面でボールを失わず前進する「脱圧」能力と、受けた瞬間に前を向く“半身(ハーフターン)”が代名詞。受ける位置は基本的に中間ポケット(最終ラインと中盤の間=ライン間)。両足の細かなタッチで相手の足を外し、最後は一拍置いて確率の高い選択を出す。ブンデスリーガ公式の技術分析でも「ライン間で受け、左右どちらにもボールを動かしてマーカーを外す能力」が繰り返し言及されている。(ブンデスリーガ)
プレースタイル
① 0.5秒のハーフターン——「受けて前を向く」設計
ムシアラの強みは、受ける前から体の向きを半身にセットし、最短で前を向けること。EURO2024のドイツ対デンマーク戦をUEFAの技術レポートは「前半だけで6回、試合全体で9回もライン間で前向きに受けた」と分析。相手が数的優位でも、最初の一歩で圧力を外せる。(UEFA.com)
② “脱圧ドリブル”——小刻みタッチと重心移動
一対一になってから勝つのではなく、接触前に重心をズラして相手の届かないコースへボールを運ぶ。成功ドリブルやプログレッシブキャリー(前進運搬)の指標でも高水準で、直近365日のスカウティングデータでもドリブル成功や進入系指標が上位%タイル(90%前後)を示す。数字もテクニックの裏付けだ。(FBRef, DataMB)
③ ハーフスペース侵入と“間”の受け直し
ムシアラは左ハーフスペースでの滞在時間が長い。右足のインサイド・アウトサイドを連続で使い、相手CBとSBの“間”へ刺す。ブンデスリーガ公式の選手戦術解説でも「足元で受け、左右にボールをずらしながらマーカーの逆を取る」型が強調される。(ブンデスリーガ)
④ シュートの確度と“溜め”
2024-25シーズンのブンデスリーガでは25試合で12得点2アシスト。シュートは無理なコースを狙うのではなく、ワンタッチ余らせてGKの逆を取る選択が多い。数字の裏付けとして、リーグの試合別集計も12G/2Aを示す。(StatMuse)
⑤ 連携面——ケインとの相互補完
9番(ケイン)が降りた瞬間にムシアラは最前列へ刺し、逆に9番が最前列を取る時は彼が二列目に残って“壁”を作る。ヴィンセント・コンパニ就任後は「ボックス侵入が増え、ヘディング得点も増えた」と本人が語る記事があり、実際に“ゴール前での仕事”が増え、得点効率が上がった。(Bavarian Football Works)
⑥ 守備と切替
ハイプレスでは内側のレーンを消しつつ、外回しに誘導。奪った瞬間はドリブルで一人剥がし、数的優位を作って一気にゴール前まで運べるタイプ。EURO2024では高強度の試合の中でもボール保持時のパス成功率91.2%と安定(5試合・3得点)。(UEFA.com)
⑦ ニックネーム“Bambi”(バンビ)——近距離コントロールの象徴
細身でしなやかな身のこなしから“Bambi”と呼ばれる。本人も由来に触れており、密集での近距離タッチがこの呼称を裏付けている。(The Players’ Tribune, ウィキペディア)
エピソードとハイライト
1)バイエルンの“歴史を動かした一撃”(2023)
2022-23最終節ケルン戦89分、ムシアラの決勝弾でバイエルンは大逆転優勝。クラブ公式も「歴史に残る一撃」と回顧し、APやESPNも“劇的逆転”として報じた。若くしてクラッチスコアラーの資質を証明した瞬間だ。(FC Bayern, AP News, ESPN.com)
2)EURO2024:6人同時トップスコアラーの一人(3得点)
UEFAと主要メディアは、ユーロ2024のトップスコアラーが史上稀な“6人同時”になったと明記。ムシアラもその一人で、グループ、ラウンド16で計3得点。ドイツの前進を牽引した。(UEFA.com, ESPN.com, AP News)
3)「2024年のブンデス最優秀ゴール」受賞
2024年11月、アウェイのザンクト・パウリ戦で約30mの決勝弾。2025年1月に“ブンデスの年間ベストゴール”に選出された。中距離からでも決め切る“溜め→コントロールショット”の質を示したシーン。
4)2024年末〜25年初の“月間最優秀”連発
2024年10〜12月のクラブ月間MVPを3カ月連続で獲得。コンディションが上がった冬場にゴール・アシストでチームを押し上げた。
5)2024-25シーズンのハイライト(クラブ)
- ブンデスリーガ優勝(24/25)…レバークーゼンから王座を奪還し、残り2試合を残してタイトル確定。 (ブンデスリーガ)
- ムシアラ個人…リーグ戦25試合12得点2アシスト(※集計ベース)。シーズン中盤からボックス侵入が増え、“点で合わせる”形も増えた。 (StatMuse, Bavarian Football Works)
- 背番号10へ…2025-26から“10番”を継承。クラブの中心選手としての象徴的なステップに。
6)契約延長と“逸話”——2030年までの長期コミット
2025年2月、2030年までの契約延長をクラブが正式発表。報道ベースでは解除条項(175〜183百万€/$)の存在も語られるが、発効時期や金額は媒体により差があるため「噂の域」を出ない。(FC Bayern, ESPN.com, フォーブス, Bavarian Football Works)
7)2025年夏:クラブワールドカップでの重傷
2025年7月、PSG戦でドンナルンマとの交錯により腓骨骨折+足関節脱臼の重傷。手術のうえ長期離脱となった。ムシアラ本人は「誰のせいでもない」と発信。復帰時期は段階的と見られる。
2024-25シーズンのプレーを掘り下げる
「コンパニ体制」で増えたのは“待ち”ではなく“刺す回数”
コンパニは前線の流動性を高め、インサイドハーフ~10番の選手に対してエリア内への再侵入を強く求めた。ムシアラは「昨季(トゥヘル下)はボールを引き取りに低く降りる場面が多かったが、今季はボックスでのプレーが増えた」と語っている。結果として、中盤の顔からゴール前の決定役への比率が上がり、得点数が伸びた。(Bavarian Football Works)
データで見る“怖さ”
FBrefの指標では、成功ドリブル/前進運搬/PA内タッチなど、敵陣アタッキングサード関連の数値が高い帯域で推移。ドリブラーでありながら、ショートパスの連続性や縦の運搬を同時に満たす、希少なタイプである。(FBRef)
EURO2024の延長線上にあるもの
代表では左寄りの10番、クラブでは左ハーフスペース起点の万能アタッカー。ユーロで見せた「密集での前向き受け→一刺し」は、クラブでも同様。“まず前を向けること”がすべての出発点だ。(UEFA.com)
こんな選手に例えるなら?
脳内の“選択肢リスト”の更新速度と、重心移動で外すドリブルは若き日のエデン・アザールに近い。だがムシアラはより中央で受け、より早くゴール前に顔を出す点で、現代10番の進化形と言える。ブンデスの技術分析が強調する「左右どちらにもボールを出せる中立性」も唯一無二。(ブンデスリーガ)
まとめ
- ムシアラ(ジャマルムシアラ)は**“半身の魔術師”**。最初の触りで前を向き、密集を解いて前進する。
- 2024-25はボックス侵入の増加で得点力が向上。ブンデス奪還の原動力となった。 (ブンデスリーガ)
- 契約は2030年まで。市場価値は**€140m(2025/06/05時点)**と世界最高峰の評価。 (トランスファーマーケット)
- 2025年夏の重傷は痛恨だが、彼の強みは“瞬間の判断と半身”。身体能力頼みの選手ではない。完全復活後もトップレベルの決定力を維持できる余地は大きい。(Reuters)
参考ソース(抜粋)
- プロフィール・身長・契約等:FC Bayern公式、Bundesliga公式、Transfermarkt。(FC Bayern, ブンデスリーガ, トランスファーマーケット)
- 市場価値:Transfermarkt(最終更新 2025/06/05)。(トランスファーマーケット)
- スタッツ・傾向:FBref、StatMuse。(FBRef, StatMuse)
- ユーロ2024の記録:UEFA公式、AP、ESPN。(UEFA.com, AP News, ESPN.com)
- 2024-25のクラブタイトル:Bundesliga公式。(ブンデスリーガ)
- 受け方・戦術分析:Bundesliga.com技術解説、UEFA分析。(ブンデスリーガ, UEFA.com)
- 2025年夏の負傷:Reuters、ESPN、CBS Sports。(Reuters, ESPN.com, CBSSports.com)