サッカーの移籍市場では、世界的なスター選手だけでなく、まだ広く名前を知られていない若手や下部リーグの選手が突然注目を集めることがあります。
「なぜ、このクラブはこの選手を知っていたのか」
そんな疑問の裏側にあるのが、選手のプレーを数値から探し出すデータスカウトです。
現在のクラブは、スカウトが世界中のスタジアムへ足を運ぶだけではありません。膨大な選手データを使って候補を絞り込み、映像や現地視察で詳しく確認する方法が広がっています。
ただし、データスカウトは単純に「数字の良い選手を獲得する仕組み」ではありません。
大切なのは、クラブが求める役割を明確にし、その役割に合う選手を膨大な候補の中から見つけることです。
本記事では、サッカーにおけるデータスカウトの仕組み、クラブが確認する指標、実際の選手発掘の流れ、そしてデータだけでは判断できない要素まで分かりやすく解説します。
- サッカーのデータスカウトとは
- データスカウトの目的は「正解を出すこと」ではない
- クラブはどのように無名選手を見つけるのか
- ポジション別にクラブが見るデータ
- センターフォワードで見る指標
- ウイングで見る指標
- ミッドフィルダーで見る指標
- センターバックで見る指標
- サイドバックで見る指標
- ゴールキーパーで見る指標
- 「似ている選手」を探す方法
- xGやxTはどのように使われるのか
- フィジカルデータで何が分かるのか
- データスカウトが注目される理由
- 世界中の選手を比較できる
- スカウトの思い込みを減らせる
- 補強候補の比較基準をそろえられる
- 移籍市場で早く動ける
- データスカウトの弱点と注意点
- データに記録されない能力がある
- 所属チームの戦術に数字が左右される
- データの定義が会社によって異なる
- 試合数が少ないと数字が安定しない
- データが良くても移籍が成功するとは限らない
- データスカウトで成功するクラブに必要なもの
- データスカウトによって無名選手は発掘できるのか
- よくある質問
- まとめ
サッカーのデータスカウトとは
データスカウトとは、試合中に記録されたさまざまな数値を使い、クラブの戦術や補強条件に合う選手を探す方法です。
対象となるのは、ゴール数やアシスト数だけではありません。
現在では、次のようなプレーも数値化されています。
- シュートの位置や質
- パスの方向と距離
- ボールを前進させた回数
- プレッシャーを受けた状況
- 守備アクションの位置
- 走行距離や最高速度
- 加速と減速の回数
- ボールを持っていないときの立ち位置
- 相手守備ラインを越えたパス
- 味方や相手との距離
たとえばSkillCornerは、映像から選手とボールの位置を取得するトラッキング技術を用い、スピード、運動量、爆発力などを複数リーグで比較できるデータを提供しています。イベントデータだけでは分かりにくかった、ボールに触れていない時間の動きも分析対象になっています。
このようなデータを使えば、現地スカウトが把握しきれないリーグや年代からも、条件に合う選手を探せます。
データスカウトの目的は「正解を出すこと」ではない
データ分析という言葉から、コンピューターが自動的に獲得選手を決めている場面を想像するかもしれません。
しかし、実際の主な役割は、見るべき選手を効率よく絞り込むことです。
世界中には数万人規模のプロ選手がいます。すべての選手を現地で視察し、フルマッチ映像を何試合も確認するのは現実的ではありません。
そこで、まずデータによって候補者を数十人程度まで絞ります。その後、映像分析、現地視察、人物調査などを重ねて獲得候補を決めていきます。
ブレントフォードのテクニカルディレクター、リー・ダイクス氏が明かした補強プロセスでは、クラブがカバーする約8万5,500人の選手から、ポジション別の条件を使って候補を絞り込む段階が紹介されています。その選定には、客観的なデータと各地域のスカウトによる主観的な評価の両方が使われています。
つまり、データと人間の目は対立するものではありません。
データが「見落としていた選手」を見つけ、人間が「本当に獲得すべき選手か」を判断する関係です。
クラブはどのように無名選手を見つけるのか
データスカウトによる選手発掘は、一般的に次のような流れで進みます。
1.クラブが必要とする選手像を決める
最初に行うのは、データベースを眺めることではありません。
「どのような選手が必要なのか」を定義します。
たとえば「右ウイングが欲しい」という条件だけでは不十分です。
同じ右ウイングでも、クラブによって求める役割は異なります。
- タッチライン際からドリブルで仕掛ける選手
- 内側に入って得点を狙う選手
- 高い位置から激しくプレスする選手
- 裏へのスプリントを繰り返す選手
- ボールを失わずチャンスを作る選手
補強の失敗を減らすには、ポジション名ではなく、試合中に担ってほしい役割まで具体化する必要があります。
そのうえで、年齢、移籍金、給与、契約年数、国籍、利き足などの条件も設定します。
2.データで候補を絞り込む
必要な選手像が決まったら、その役割に対応する指標を選びます。
たとえば、前線から守備をするセンターフォワードを探す場合は、得点数だけでなく、プレッシング回数や守備アクションの位置、スプリントの頻度なども確認します。
StatsBombのスカウト機能では、役割に応じた100種類以上の指標からフィルターを設定し、条件に合う候補者リストを作成できると説明されています。
ここで重要なのは、総合点が高い選手を探すのではなく、クラブが求める役割に適した特徴を持つ選手を探すことです。
3.リーグやチーム環境の違いを補正する
単純な数字の比較には注意が必要です。
たとえば、ボール保持率の低いチームに所属するセンターバックは、強豪クラブの選手よりタックルやインターセプトの回数が増えやすくなります。
これは、その選手の守備能力が高いからとは限りません。守備をする機会そのものが多い可能性があるからです。
そのため分析では、チームのボール保持率などを考慮したポゼッション補正指標が使われます。
StatsBombも、タックルやインターセプトの数字は守備機会の差を考慮しなければ比較しにくいとして、チームの保持率に応じて守備指標を補正する考え方を紹介しています。
また、リーグによって試合の強度、守備の組織、プレースピードも異なります。
下位リーグで圧倒的な数字を残した選手が、上位リーグでも同じ数字を残せるとは限りません。そのため、対戦相手の強さやリーグレベルも含めて評価する必要があります。
4.映像でプレーの中身を確認する
データで候補を絞ったあとは、試合映像を確認します。
数値は「何が起きたか」を示しますが、「なぜ起きたのか」までは完全には説明できません。
たとえば、パス成功率が高い選手でも、安全な横パスやバックパスが多いだけかもしれません。
反対にパス成功率が低くても、相手守備ラインを破る難しいパスに積極的に挑戦している可能性があります。
現在では、単純な成功率だけでなく、パスの難易度を予測するxPassのようなモデルも使われています。StatsBombは、すべてのパスを同じ難易度として扱うのは適切ではないとして、選手や相手の位置を踏まえてパス成功確率を評価するモデルを説明しています。
映像では、次のような部分を確認します。
- プレーを選択するまでの速さ
- ボールを受ける前の首振り
- 相手との距離の取り方
- ミスが起きた理由
- 数字に表れない味方へのサポート
- 守備時のポジショニング
- 強い相手との試合でも同じプレーができるか
- 試合終盤でも運動量を維持できるか
データで発見し、映像で理由を確認する。この組み合わせが重要です。
5.現地視察と人物評価を行う
映像評価を通過した選手は、必要に応じて現地スカウトが確認します。
現地では、映像だけでは把握しにくい情報も得られます。
たとえば、ベンチからの指示への反応、味方とのコミュニケーション、ミスをした後の振る舞い、試合が止まっている間の動きなどです。
さらに、獲得候補が絞られると、代理人や過去の指導者などを通じて人物面も調査します。
クラブが確認するのは、プレー能力だけではありません。
- 練習への姿勢
- 戦術理解力
- 新しい国への適応力
- ケガの履歴
- 生活面の安定性
- チーム内での人間関係
- 控えに回ったときの態度
どれほどデータが優れていても、クラブの文化や監督の要求に適応できなければ、移籍が成功するとは限りません。
ポジション別にクラブが見るデータ
クラブが確認する指標は、ポジションや役割によって変わります。
ここでは、代表的な例を紹介します。
センターフォワードで見る指標
センターフォワードでは、ゴール数が最も注目されます。
しかし、データスカウトでは結果だけでなく、得点が生まれるまでの過程を確認します。
主な指標
- 90分あたりのゴール数
- PKを除いた期待得点
- シュート数
- ペナルティーエリア内でのタッチ数
- シュート1本あたりの期待得点
- 裏へのランニング回数
- 空中戦勝率
- 前線でのボール保持
- プレッシング回数
- 味方のシュートにつながるパス
期待得点、いわゆるxGを見ることで、決定力だけでなく、良いシュート位置に入り続けているかを確認できます。
ただし、クラブがポストプレーのできる選手を求めているなら、ゴール数だけでは足りません。空中戦、味方への落とし、相手センターバックを背負った場面でのプレーも重要です。
ウイングで見る指標
ウイングには、ドリブル型、得点型、チャンスメイク型など、さまざまなタイプがいます。
主な指標
- ドリブル成功数
- ボールを前進させた距離
- ペナルティーエリアへの侵入
- 相手を抜いた回数
- スプリント回数
- 最高速度
- 急加速や方向転換
- クロスの質
- シュート創出数
- ボールロストの位置
近年は、最高速度だけでなく、短い距離での加速や急な方向転換も分析されています。SkillCornerは、ウイングを評価する際に、爆発力や方向転換に関する身体データを活用する考え方を紹介しています。
広いスペースで速い選手と、密集地帯で一瞬の加速を使える選手は、同じ「スピードのあるウイング」でも特徴が異なります。
ミッドフィルダーで見る指標
ミッドフィルダーは、役割によって評価項目が大きく異なるポジションです。
主な指標
- 前方へのパス
- 相手守備ラインを越えるパス
- プログレッシブパス
- ボール前進距離
- プレッシャー下でのパス成功
- ボール奪取
- パスコースの遮断
- セカンドボール回収
- ターンによる前進
- チャンスメイク
守備的ミッドフィルダーに必要なのがボール奪取だけとは限りません。
ポゼッションを重視するチームなら、相手からプレッシャーを受けながら前を向き、次のラインへパスを届ける能力がより重要になります。
一方、速攻を主体とするチームでは、ボールを奪った直後に前方へ展開できる能力が評価されるでしょう。
センターバックで見る指標
センターバックの評価は特に難しいといわれます。
優れたセンターバックほど危険を事前に察知し、タックルをする前に相手の攻撃を止めることがあるからです。
主な指標
- 空中戦勝率
- 対人守備の成功率
- インターセプト
- 守備アクションの位置
- 背後へのスプリント
- 前方へのパス
- ロングパス
- ボール運搬
- プレッシャー下でのロスト
- 守備ラインの高さへの適応
ハイラインを採用するクラブでは、広い背後をカバーするスピードが必要です。
一方、低い位置で守るチームなら、クロスへの対応、空中戦、ペナルティーエリア内でのポジショニングが重視されます。
同じセンターバックでも、所属チームの守り方によって求められる能力は大きく変わります。
サイドバックで見る指標
現代のサイドバックは、タッチライン際を上下するだけではありません。
内側に入ってビルドアップに参加したり、高い位置でウイングのようにプレーしたりします。
主な指標
- 前進パス
- ボール運搬
- ペナルティーエリアへの侵入
- クロス
- オーバーラップとインナーラップ
- 守備への戻り
- スプリント回数
- 1対1守備
- 中央でのボール保持
- プレスを受けた場面でのプレー
そのため、所属クラブで一般的なサイドバックを務めている選手が、別のクラブでは中盤型サイドバックの候補として評価されることもあります。
データスカウトでは、現在のポジションだけでなく、別の役割へ転換できる可能性も探ります。
ゴールキーパーで見る指標
ゴールキーパーも、セーブ率だけでは評価できません。
主な指標
- シュート阻止能力
- クロスへの対応
- 守備範囲
- ペナルティーエリア外でのクリア
- ショートパスの精度
- ロングキックの到達地点
- プレッシャー下での判断
- 相手のプレスを越えたパス
- ハイライン背後のカバー
- セットプレー時の対応
被シュート数が多いチームと少ないチームでは、単純な失点数やセーブ数を比較しても正確な評価はできません。
現代では、シュートの難易度を考慮し、平均的なGKと比べて何点分の失点を防いだかという考え方も使われます。
「似ている選手」を探す方法
データスカウトでよく使われるのが、既存選手と似た特徴を持つ選手を探す方法です。
たとえば主力選手が移籍する場合、その選手とプレースタイルの似た候補者を複数リーグから抽出します。
StatsBombの類似選手検索では、基準となる選手を設定し、統計的なプロフィールが近い選手を一覧化できます。主力選手の後継者、控え選手、将来の代替候補などを探す用途が想定されています。
ただし、「数字が似ている=同じレベルの選手」ではありません。
似ているのは、あくまでプレーの傾向です。
世界最高峰のリーグで残した数字と、年代別リーグや下部リーグで残した数字を同じように扱うことはできません。
類似検索は答えを出す機能ではなく、これまで知らなかった候補者にたどり着くための入口です。
xGやxTはどのように使われるのか
データスカウトでは、ゴールやアシスト以外の貢献を評価するために、さまざまな指標が使われます。
xG・期待得点
xGは、シュート位置や状況などから、そのシュートが得点になる確率を示す指標です。
ゴール数だけでなく、継続して良いシュート機会を作れているかを確認する際に使われます。
xA・期待アシスト
パスを受けた選手のシュートが、どの程度得点につながりやすかったかを基に、チャンスを作った選手を評価します。
味方がシュートを外せば通常のアシストにはなりませんが、期待アシストならパスの価値をある程度評価できます。
xT・期待脅威
xTは、ピッチ上の各エリアに得点へつながる価値を設定し、ボールをより危険な場所へ運んだプレーを評価する考え方です。
StatsBombは、ピッチを複数のエリアに分け、それぞれの地点から将来的に得点が生まれる可能性を基に、ボールを移動させた価値を評価するモデルとしてxTを説明しています。
これにより、最後のパスやシュートを行わなくても、攻撃の起点となった選手を見つけやすくなります。
フィジカルデータで何が分かるのか
イベントデータは、ボールに関わるプレーを分析するのが得意です。
一方、トラッキングデータを使えば、ボールに触れていない選手の動きも分析できます。
代表的な項目は次のとおりです。
- 最高速度
- 高強度走行距離
- スプリント回数
- 急加速と急減速
- 方向転換
- 相手守備ラインの背後への走行
- プレス時に詰めた距離
- 攻守の切り替えでの移動速度
- 味方や相手との位置関係
SkillCornerは、複数リーグの選手を共通の基準で比較できる身体データを提供しており、2026年には選手が到達できる速度をより詳細に捉えるPeak Velocity指標も紹介しています。
ただし、走行距離が長ければ優秀とは限りません。
必要な場所へ適切なタイミングで動けているかが重要です。
戦術的にポジションを保つ役割の選手は、運動量が少なく見えてもチームに大きく貢献している可能性があります。
データスカウトが注目される理由
世界中の選手を比較できる
従来の現地スカウトには、担当できる地域や試合数に限界がありました。
データを使えば、知名度の低いリーグや若手カテゴリーも含め、広範囲から候補を探せます。
特に予算が限られるクラブにとって、有名になる前の選手を発見することには大きな価値があります。
スカウトの思い込みを減らせる
人間の評価には、無意識の先入観が入り込むことがあります。
有名クラブに所属している、体格が目立つ、印象的なゴールを決めたといった要素が、評価全体に影響する可能性があります。
データは、人間の評価を完全に置き換えるものではありませんが、思い込みに気づくための材料になります。
補強候補の比較基準をそろえられる
複数のスカウトが別々のリーグを担当すると、評価の尺度がばらつくことがあります。
共通の指標や役割定義を使えば、「良い選手」という曖昧な評価ではなく、クラブが必要とする能力に沿って比較しやすくなります。
移籍市場で早く動ける
選手が大きな大会や欧州カップ戦で活躍してから獲得を検討すると、移籍金が上昇し、競合クラブも増えます。
データを使って成長の兆候を早く発見できれば、市場価値が上がる前に交渉を始められる可能性があります。
データスカウトの弱点と注意点
データは便利ですが、万能ではありません。
データに記録されない能力がある
リーダーシップ、戦術理解、精神的な強さ、味方への声かけなどは、数値化が難しい要素です。
また、チームの戦術を守るためにあえて目立たないプレーを選んでいる選手もいます。
所属チームの戦術に数字が左右される
ボール保持率の高いチームでは、守備機会が少なくなります。
低い位置で守るチームでは、センターバックのクリアや空中戦が増えます。
選手の数字には、本人の能力だけでなく、監督の戦術や周囲の選手の特徴が反映されています。
データの定義が会社によって異なる
同じ「プログレッシブパス」や「プレッシャー」という名称でも、データ提供会社によって定義が異なる場合があります。
Wyscoutも、同社のプラットフォームやAPIで使用する指標について、専用のデータ用語集を公開しています。数字を比較する際は、名称だけでなく定義まで確認する必要があります。
試合数が少ないと数字が安定しない
数試合だけの好成績は、偶然によって生まれることがあります。
特にシュート成功率やドリブル成功率などは、試合数やプレー回数が少ないと大きく変動します。
候補者を評価するときは、一定期間の数字だけでなく、複数シーズンの推移や年齢による成長も確認します。
データが良くても移籍が成功するとは限らない
移籍後は、リーグの強度、言語、文化、監督との関係、家族の生活など、さまざまな要因が影響します。
データ上は理想的でも、新しい環境に適応できなければ本来の能力を発揮できません。
だからこそ、人物評価や現地調査が欠かせないのです。
データスカウトで成功するクラブに必要なもの
高価な分析ツールを導入するだけで、補強が成功するわけではありません。
重要なのは、クラブ内で次の要素が共有されていることです。
明確なプレーモデル
どのように攻撃し、どのように守るのかが曖昧なら、必要な選手像も定まりません。
ポジションではなく役割を定義する力
「センターバックが欲しい」ではなく、「ハイラインの背後を守りながら、左足で前進パスを出せるセンターバックが欲しい」と定義する必要があります。
データと映像をつなげられる分析担当者
数値を並べるだけではなく、その数字がピッチ上でどのようなプレーとして表れているかを説明できる人材が必要です。
現場と強化部の共通理解
監督、強化責任者、スカウト、データアナリストが別々の選手像を持っていては、補強方針がぶれます。
データスカウトが機能するかどうかは、分析技術だけでなく、クラブ全体の意思決定の仕組みに左右されます。
データスカウトによって無名選手は発掘できるのか
データスカウトは、これまで見逃されていた選手を発見する有効な方法です。
知名度や所属クラブのブランドに左右されず、プレーの特徴から候補者を探せるためです。
しかし、数字だけでスター選手を発掘できるわけではありません。
データが示せるのは、主に次のような情報です。
- その選手が何を得意としているか
- どのような役割を担っているか
- 同年代や同ポジションと比べて何が優れているか
- 別のリーグや戦術に適応できる可能性があるか
- さらに詳しく調べる価値があるか
最終的な判断には、映像、現地視察、人物面、移籍金、給与、ケガの履歴などを組み合わせる必要があります。
データスカウトとは、魔法の答えを出す仕組みではありません。
世界中から、見るべき選手を見つけ出すための高性能な検索装置と考えると分かりやすいでしょう。
よくある質問
データだけで選手を獲得するクラブはありますか?
実際には、データだけで最終判断するケースは多くありません。
データで候補を絞り、映像分析、現地視察、人物調査、メディカルチェックなどを組み合わせるのが基本です。
一般のサッカーファンでもデータスカウトはできますか?
公開されているデータサイトや試合映像を利用すれば、簡易的な分析は可能です。
ただし、プロクラブが利用する詳細なイベントデータやトラッキングデータは、有料サービスとして提供されているものが多く、利用できる範囲には差があります。
得点数が多い選手を探せばよいのではないですか?
得点数だけでは、シュート機会の質、所属チームの強さ、PKによる得点、リーグレベルなどを区別できません。
クラブは期待得点、シュート位置、オフザボールの動き、守備貢献なども含めて評価します。
データスカウトと通常のスカウトはどちらが優れていますか?
どちらか一方が優れているわけではありません。
データは広い範囲から候補者を探すことに優れ、人間のスカウトはプレーの背景や人物面を詳しく評価することに優れています。
両方を組み合わせることが重要です。
まとめ
サッカーのデータスカウトとは、ゴール数やアシスト数だけを見るものではありません。
クラブの戦術や必要な役割を定義し、技術、戦術、フィジカルに関するさまざまなデータから候補者を探す仕組みです。
選手発掘は、主に次の流れで行われます。
- クラブが必要とする選手像を決める
- データを使って候補者を絞る
- リーグやチーム環境の違いを補正する
- 映像でプレーの中身を確認する
- 現地視察と人物評価を行う
- 移籍金や給与を含めて最終判断する
データによって、これまで注目されていなかったリーグやクラブから、補強条件に合う選手を見つけやすくなりました。
一方で、数字は選手のすべてを表すわけではありません。
現代の優れたスカウティングとは、データか人間の目かを選ぶことではなく、データで見つけ、人間の目で確かめることです。
知名度ではなく、クラブの戦術に本当に合う選手を見つける。そのための方法が、サッカーにおけるデータスカウトなのです。





