三笘薫のプレースタイル解説:変幻自在のドリブルと進化する万能性

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近年、ヨーロッパのサッカーシーンにおいて、その名を轟かせている日本人選手の一人が三笘薫である。プレミアリーグのブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンに所属し、日本代表としても欠かせない存在となった彼のプレースタイルは、多くのファンを魅了し、対戦相手の脅威となっている。特筆すべきはその卓越したドリブル技術だが、彼の魅力はそれだけに留まらない。本稿では、三笘薫のプレースタイルを詳細に分析し、彼の持つ多様な能力と、それがチームにもたらす影響について深く掘り下げていく。

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基本情報

基本情報内容
選手名(英語名)三笘 薫(Kaoru Mitoma)
生年月日/年齢1997年5月20日 (27歳 ※2025年現在)
身長(cm)178
国籍日本
ポジション左ウイング
所属クラブ(国名)Brighton & Hove Albion (イングランド)
市場価値45.00m € ※2024/12/16時点
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プレースタイル

ドリブルの特長

三笘薫のプレースタイルを語る上で、最も注目すべきはその驚異的なドリブル能力である。それは単なるスピードだけではなく、複数の要素が組み合わさって形成されている。 まず、特筆すべきはボールコントロールの高さだ。「まるで吸盤のようにボールが足に吸い付く」と評されるほど、細かいタッチでボールを自在に操り、狭いスペースでもボールを失わない。 加えて、目覚ましい加速力と緩急の変化も彼のドリブルの大きな武器だ。静止状態からの一瞬の加速はもちろん、ドリブル中にもギアを切り替えることで、相手ディフェンダーを置き去りにする。

また、フェイントやシミー、鋭いカットインといった多様なテクニックも持ち合わせており、相手の予測を困難にしている。 低い重心も彼のドリブルの安定感と agility に貢献しており、相手との接触にも強く、体勢を崩しにくい。

さらに、彼のドリブル技術の背景には、筑波大学での卒業論文の研究がある。
「サッカーの1対1場面における攻撃側の情報処理に関する研究」と題されたこの論文で、彼はドリブルにおける視線の重要性、つまりボールを見るのではなく、常に相手の動きや周囲の状況を把握することの重要性を学んだ。 この研究で得た知見が、彼の効果的なドリブルテクニックを支えていると考えられる。相手の重心の動きを瞬時に見抜き、逆を突くドリブルは、まさに研究の成果と言えるだろう。
海外のサッカー解説者からも「ドリブルキング」と称賛されるように、三笘のドリブルは相手にとって脅威以外の何物でもない。

パスと視野の広さ

ドリブルばかりが注目されがちだが、三笘薫は優れたパスセンスと広い視野も兼ね備えている。 密集したDFラインの裏を正確に射抜くスルーパスや、ゴール前に走り込む味方へ絶妙なタイミングで供給されるクロスボールは、彼の視野の広さと精度の高いキックがあってこそ生まれる。
また、リスクを恐れずに大胆なパスを試みる姿勢も持ち合わせており、攻撃に変化と創造性をもたらす。 2024-25シーズンにおいても、既に複数のアシストを記録しており,得点だけでなく、チャンスメイクにおいてもチームに大きく貢献していることがわかる。
彼のパスは、単に味方にボールを繋ぐだけでなく、相手の守備を崩し、決定的なチャンスを作り出すための重要な要素となっている。ドリブルで相手を引きつけ、空いたスペースに走り込む味方を見逃さない視野の広さと、そこに正確なパスを通す技術は、彼の攻撃性能を大きく高めている。

ポジショニングとオフ・ザ・ボールの動き

三笘薫の賢さは、ボールを持っていない時の動きにも表れている。
彼は常に相手DFの隙間や死角を見つけ出し、効果的なポジショニングで味方のパスを引き出す動きに長けている。 サイドライン際でボールを受け、相手DFを広げ、中央のスペースを空ける動きは、ブライトンの攻撃において重要な役割を果たしている。
また、ゴール前への飛び出しのタイミングも秀逸で、味方のクロスボールやラストパスに合わせ、得点に繋げる動きも得意としている。 ハビ・シジェス氏に「オフ・ザ・ボールキング」と称賛されたように,ボールを持っていない時の彼の動きは、相手DFにとって非常に厄介であり、常に警戒を怠れない存在と言える。味方との連携を意識した動き出しや、相手のマークを外す巧妙な動きは、彼の戦術理解度の高さを物語っている。

得点能力とフィニッシュワーク

近年、三笘薫は得点能力においても著しい成長を見せている。 元々はチャンスメーカーとしての評価が高かったが、川崎フロンターレ時代からゴール前への積極的な仕掛けを磨き、得点パターンを増やしてきた。 得意の右足から放たれるシュートは精度が高く、冷静な判断力も持ち合わせている。 以前は苦手とされていたヘディングでもゴールを決めるなど,プレースタイルに多様性をもたらしている。
2024-25シーズンも既に複数のゴールを記録しており,その得点能力はチームにとって大きなアドバンテージとなっている。特に、ドリブルでペナルティエリア内に侵入し、そのままシュートに持ち込む形は、彼の得意な得点パターンの一つだ。また、味方のチャンスメイクからゴール前に走り込み、確実にフィニッシュに繋げる能力も高く評価されている。

戦術的な役割と貢献度

主に左ウイングを主戦場とする三笘薫だが、その戦術的な柔軟性も彼の大きな魅力の一つだ。 試合の流れやチームの戦術に応じて、左サイドハーフやより攻撃的なポジションでもプレーすることが可能だ。 また、攻撃だけでなく、守備においても献身的な姿勢を見せる。 現在のブライトンを率いるファビアン・ヒュルツェラー監督の下では、攻撃的な選手にも高いレベルでの守備意識が求められており,三笘も積極的にボールを奪いに行ったり、自陣深くまで戻って守備に参加するなど、チームに貢献している。彼のドリブルは相手DFを頻繁に引きつけ、ファウルを誘発する場面も多く,セットプレーの機会をチームにもたらすなど、間接的な貢献も大きい。攻守両面における貢献度の高さが、彼がチームにとって不可欠な存在となっている理由の一つと言えるだろう。

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エピソードとハイライト

プロキャリア初期の重要な出来事

三笘薫は、高校卒業時に川崎フロンターレからプロ契約のオファーを受けながらも、すぐにプロの舞台に飛び込むのではなく、筑波大学への進学を選択したという異例の経歴を持つ。 当時、彼はプロとしてやっていく自信がまだないと判断し、大学でさらに成長するための時間を選んだ。 この決断は、彼の成熟した考え方と将来を見据えた長期的なビジョンを示していると言えるだろう。
大学在学中も、川崎フロンターレの特別指定選手としてプレーするなど、プロの舞台を経験しながら着実に力をつけていった。 そして、大学卒業後、川崎フロンターレに正式に加入すると、ルーキーイヤーから目覚ましい活躍を見せ、Jリーグの新人記録を更新するなど、その才能を開花させた。

その後、2021年にはイングランド・プレミアリーグのブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンへ完全移籍するも、1年目はベルギーのロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズへローン移籍し、ヨーロッパでのプレー経験を積んだ。 そこでは、セライング戦でハットトリックを達成するなど,早くもそのポテンシャルの高さを示した。

記憶に残る過去のハイライトシーン

ブライトン復帰後も、三笘薫は数々の印象的なプレーを見せてきた。プレミアリーグデビュー戦や初ゴール、FAカップでのリヴァプール相手の劇的な決勝ゴール など、重要な試合で結果を残してきた。
また、2022-23シーズンには、日本人選手としてプレミアリーグ1シーズン最多得点記録を更新するなど,その活躍は目覚ましいものだった。彼のドリブル突破から生まれるチャンスや、冷静なフィニッシュワークは、多くのファンに記憶されている。

2024-25シーズンの注目すべきプレーと成績

2024-25シーズンも、三笘薫はブライトンの主力として活躍を続けている。プレミアリーグでは既に複数のゴールとアシストを記録しており,チームの攻撃を牽引している。特に、2025年2月14日のチェルシー戦で決めたゴールは、圧巻の一撃だった。 GKからのロングフィードを完璧なトラップで収め、相手DFを置き去りにして右足でゴールネットを揺らしたこのスーパーゴールは、国内外で大きな話題となり、メッシやベルカンプといったレジェンドと比較されるなど、絶賛された。

また、サウサンプトン戦での約40メートルをドリブルで駆け上がり決めたゴール や、マンチェスター・ユナイテッド戦でのゴールとアシスト は、日本人選手としてのプレミアリーグ最多得点記録を更新するものであり、彼のキャリアにおける重要なマイルストーンとなった。

このチェルシー戦のゴールは、2025年2月のプレミアリーグ月間最優秀ゴールにも選ばれ,彼の技術とインパクトの大きさを改めて示した。さらに、BBCの週間ベストイレブンにも選出されるなど,その活躍は広く認められている。

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まとめ

三笘薫のプレースタイルは、卓越したドリブル技術を核としながらも、パスセンス、視野の広さ、ポジショニングの巧みさ、そして進化し続ける得点能力が融合した、非常に多角的で魅力的なものと言える。大学での研究で培われた分析力と、プロの舞台で磨き上げられた技術が、彼のプレーを唯一無二のものにしている。謙虚な姿勢で常に成長を追い求める彼の今後の活躍から、ますます目が離せない。

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